アート見物記(1998年上半期)

  1. ジャグリングワークショップ(1998.6.6)
  2. ディズニーランド(1998.6.2)
  3. 花咲く家の物語 '98(1998.5.29)
  4. 見世物小屋の文化誌(1998.5.14)
  5. チルコファンタジア(1998.5.9)
  6. Dreams & Nightmlares(1998.5.5)
  7. Dreams & Nightmlares(1998.4.28)
  8. 大道芸的ライブ(1998.4.23)
  9. 第22回野毛大道芸(1998.4.19)
  10. ヨコハマボードビルシアター(1998.4.16)
  11. Mr.マリック超魔術ライブ(1998.3.15)
  12. クラウンのいる風景(1998.2.15)
  13. 説経節(1998.2.4)
  14. 江戸太神楽・お江戸のお正月(1998.1.14)

【Juggling with Finesse ワークショップ】

★講師:Kit Summers (キット・サマーズ)
★場所:八王子
★開催日:6月6日(土)〜7(日)
★参加者:約25名
★費用:10,000円(2日間)、6,000円(1日間)
★内容:
一泊二日のワークショップですが、私は都合により一日目だけ参加し、内容的には講義とボールの実技練習から構成されていました。
まず、講義で印象に残った幾つかのポイントを書き留めておきます。
  • Journal:
    向上心を持続させるために習慣として、自らの進捗状況を記録する日誌を書く事。何を練習して、どの位(何回)できたか、これから何を目指すのか等々を書き留めておく事により、進歩の度合いが分かり、練習の励みになる。
  • Practice Routine:
    一つ一つのトリックをぶつ切りに漫然と練習するのではなく、トリックのつなぎ(Transition)を考えながら練習する事。
  • Advancing:
    ボールの軌跡の高さを高くしたり低くしたり、幅を広くしたり狭くしたりと、変化を持たせて練習する事。リラックスする事が大切であり、またボールが落ちたときには、何故失敗したかを考え、漫然とではなくやること全てに集中する事。毎日最低限20分は練習する事。
  • Mental Practice and Dreaming:
    ジャグリングは身体的運動のみならず、精神的な要素も多分にあるのでイメージトレーニングは有効と思える。
  • Where to Practice:
    天井が高く証明も適切な、練習しやすい場所を確保する事。
  • Stetching:
    練習前のストレッチは重要である。
  • Belief in No Limits:
    自分で能力の限界を決めてはならない。
  • Push Yourself:
    自らやる気を起こさせて、自分を押し上げて練習することを心がける事。
実技練習では、ボールを使いおよそ40程のトリックが、修得するためのアドバイスと共に次から次へと紹介され、体育館の中はチャレンジする参加者の熱気で包まれていました。
★ひとこと:
これほど本格的なジャグリングのみのワークショップの国内開催というのは、例を聞いたことがありません。
まず驚いたのは30ページ弱のテキストで、内容的にも充実したものでした。ワークショップは、このテキストに沿って行われるのですが、ジャグリングのテクニックのみの講義ではなく、ジャグリングの持ついろいろな側面に関しても指導が行われます。
どんなトリックでもできるようになるし、限界を勝手に決めずに、自ら目標設定をして、いかに計画性を持って目標達成という成功へのアプローチを踏んでいくのかといったような話は、我々が自分自身の人生をよりよくするために何が必要なのかといった話にも相通ずるところがあります。
ジャグリングを練習している人にとっては、このような機会(ワークショップ)は滅多にないでしょう。マンネリになりがちな毎日の練習のとても良い刺激剤になります。私自身もこんなにも長い時間、ジャグリングに集中して練習したことはありませんでしたが、おかげで5ボールも以前よりも少し安定してきたような気(あくまで気)がします。
キット・サマーズとは:
1959年アメリカ生まれ。1970年代後半からトップジャグラーとしての地位を固めるものの、全盛期の1982年に37日間も昏睡状態に陥るほどの交通事故に遭い、身に付けていたジャグリングの技も全て失ってしまいます。その後のリハビリの中で、以前にマスターした技を学び直し、それ以後パフォーマンス、ワークショップ、講演等で精力的に活動しています。
E-Mail:Kit Summers
Web-Site:Kit Summers
★最後に:
このような素晴らしいワークショップの実現にご尽力頂いた西川さんと松浦さんに深く感謝いたします。

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【ディズニーランド】

★行った日:6月2日(火)
★楽しんだもの:
ミクロアドベンチャー、スプラッシュマウンテン、ビバマジック!、蒸気船マークトウェイン号、トムソーヤ島いかだ、ビーバーブラザーズのカヌー探検、ホーンデッドマンション、スターツアーズ

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【花咲く家の物語 '98】

★公演名:マルセ太郎喜劇プロデュース『花咲く家の物語 '98』
★公演日:5月29日(金)
★場所:紀伊国屋サザンシアター
★入場:4,300円
★作・演出:マルセ太郎
★企画・制作:マルセカンパニー
★あらすじ:
物語は、桜咲く季節にマルセ太郎が「若草の家」を訪れてくるところから始まります。 「若人の家」には、この物語の主人公である知的障害をもつ青年6人と小杉夫妻が共同生活をしています。
そこを舞台に、彼らを取り巻く社会や人との様々な関わり合いが、つまり人間関係の行き違いや社会的矛盾が、喜劇として猫かれています。
彼らは小杉夫婦を「お父ちゃん」「お母ちゃん」と心底慕い、夫婦も彼らを実の子供として扱い、どんな時でも笑いが絶えません。
が、実は康子は「若草の家」を建設した時から、乳ガンである事がわかっていて、それを周りの人々には隠し続けてきたのです。
やがてそれが進行し、ついには悲しい時を迎えることになりました・・・・。
★ひとこと:
この作品は石川県金沢市にあった「若人の家」をモデルにしたオリジナル演劇作品です。
重くなりがちなテーマを喜劇に仕立て、笑わせ泣かせて、笑わせ泣かせて、笑わせ泣かせる・・・マルセさんの演出力・創作力は冴え渡っています。
マルセさんは、「言葉」を本当に大切に扱います。だから練り上げられた「セリフ」の一つ一つが観客の心の中にストレートに飛び込んできます。
受けた言葉に何か返事をしようと、心の中で唸ってはみるものの、何も出てきません。いただいた「言葉」を胸の内に、お土産として持ち帰るだけです。
「誰の障害にもなっていないこの子達を"障害者"と呼ぶのはおかしい。世の中には人を品物扱いして分別し差別する本当の"障害者"がいるのに。」
「あの子達も、か細く弱々しい"信号"を出している。私もあの子達の"信号"を受けて、"信号"を発して光り輝くことができた。」("信号"というのは、この芝居の中での重要なキーワード)
等々・・・・

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【第2回オール早稲田文化週間参加企画「見世物小屋の文化誌」】

★公演:
971124
◎映画「見世物小屋〜旅の芸人 人間ポンプ一座〜」上映:
5月14日(木)、15日(金) 両日13:30〜15:30
◎シンポジウム「見世物の文化誌」:
5月14日(木)、15日(金) 両日15:30〜16:30
◎見世物関係資料展示会:
5月13日(水)〜17日(日) 11:00〜17:00
★場所:早稲田大学大隈小講堂
★入場:無料
★主催:早稲田大学文学部演劇専修
★協力:坂野比呂志大道芸塾/ヴィジュアルフォークロア/早稲田どらま館
★内容:
14日に参加したので、当日の模様を映画、シンポジウム、資料展示会の順で振り返ってみます。
なお文中で不適切な表現があるかもしれませんが、それは私の貧弱な表現力によるもので、決して差別を意図しているわけではありません。

◎映画「見世物小屋〜旅の芸人 人間ポンプ一座〜」:
監督:北村皆雄/制作:みうらようこ/製作:ヴィジュアル フォークロア/1997年作品

この映画は、最後の見世物小屋芸人といわれた人間ポンプこと安田里美さんとその一座の、1994年12月秩父夜祭りでの興行を記録したものです。
里美さんは翌年95年11月26日(享年72才)で亡くなられています。映像はその里美さんの告別式の様子から始まり、奥さんの春子さんや関係者が見守る中、棺の中で安らかに眠る里美さんのお顔が大写しになり、そして94年の夜祭りの始まる数日前の早朝へと時間は遡ります。

安田興行がトラックで到着し、興行に関わる一切の資材を始め、寝小屋(テント)そして生活用具を荷下ろして、休む間もなく一座皆で小屋掛けを始めます。
一座と言っても全部で9人。
メンパーは、社主の安田里美さん(当時71歳)。巧みな口上でお客を引き入れる奥さんの春子さん(61歳)。客寄せのタコ娘となるフクちやん(61歳)。やはり客寄せの首人間(ビクバラシ)となるカズさん(63歳)。小屋掛けの中心で、イヌの芸を行う春子さんの実弟、梅田陸男さん(52歳〉。安田興行のペテラン裏方で、先代の親戚、安田秀義さん(60歳)。やはり裏方で陸男さん、秀義さんを助ける文男さん(51歳)。それに、この興行の助っ人として多田興行からやってきた、ナミちやん(68歳、1996年逝去)と手品師の長崎さん(81歳)。

寝小屋の中での生活をカメラがとらえ、里美さんと春子さんのまるで漫才のような掛け合いの中、里美さんの生い立ち、2人の出会い・結婚等々インタビューが進んでいきます。
春子さんは本当に明るく良くしゃべります。

フクちゃんやカズさんは、知的障害者で親兄弟・親戚からも見放され、この一座で働いています。春子さんは、これも何かの縁だよ。人助け人助け・・・と明るく笑いながら、自分が死んだ後の彼らの生活のことまで心配し、心底親身になって彼らの面倒を見ています。
ナミちやんは、生まれつきの身体的特徴からいわゆる因果者として、ウシ娘とかイノシシ娘などと称し、これまで幾つもの興行を経て、この時は「山鳥娘」として舞台に出て、皿回しや逆立ち踊りを演じます。
安田里美さんは1923年、大阪で白子として生まれ、4才で興行主の安田与七に引き取られ見世物小屋一筋の人生でした。この興行の直後に倒れ、奇蹟的に復帰し1995年10月、「最後の見世物・人間ポンプ」という公演を浅草で行うまでに回復しましたが、その公演の翌月、ガンのため亡くなりました。

夜祭りの前夜、どの位の入りがあるか分からない緊張の中、里美さんは静かに床につきます。
公演は9時30分から23時30分までの長丁場(ちなみに入場料は大人600円、子供400円)。
祭の熱狂のなかで、春子さんのタンカにつられてお客さんがどんどん入り、小屋の中での怪しげな芸の数々に笑う人、拍手する人、口を半開きにする人・・・それぞれに楽しんで小屋を出ていきます。
初日は約2000人以上入り、一座にも大入り袋が配られます。

さて里美さんの芸を紹介しましょう。
鼻でハーモニカを演奏。白黒の碁石を幾つか飲み込み、客のリクエストで、白1ケ-->黒1ケ-->黒2ケ-->白と黒1ケづつ-->白と白1ケづつを吐き出す。昔の50円玉2ケと鎖を飲み込み、鎖に50円玉2枚の穴に通して吐き出す。鎖を鼻から口へ通す。折った紙で水の入ったバケツを持ち上げる(気合術)。紐の片端に水の入ったバケツ、片端にボタンをつけ、ボタンの方を目の中に入れてバケツをブンブン振り回す。折りたたみ式のナイフを2本飲み込み、折りたたんだ状態で2本とも吐き出す。カミソリ4枚を一枚一枚飲み込み、4枚まとめて吐き出す。金魚3匹を飲み込み、2匹を吐き出した後、釣り竿についた糸を飲み込み1匹を釣り出す。ガソリンをコップ1杯飲み込み、火を連続で吹き出す。

祭りが終わった後は、一座は次の市や祭りを求めて風のように去っていき、街にはいつもの空気が漂います。

◎シンポジウム「見世物の文化誌」:

参加した14日の内容をお伝えします。
14日「荷主(にぬし)の世界」
興行の演者(大夫)の方々に、出し物や呼び込みの実際、興行などの苦労話などを聞く。
安田春子(安田里美興行)、大野裕子(大寅興行)、鵜飼正樹(京都文教大学講師)、上島敏昭(編集者)、司会:和田修(早稲田大学助教授)
15日「歩方(ぶかた)の世界」
興行を引き受ける側の方々に、仮設興行の世界の実際や工業界の裏話の話を聞く。
安田春子、西野太吉(仮設興行組合理事)、鵜飼正樹、上島敏昭、司会:橋本裕之(千葉大学助教授)

常設興行(箱)に対して仮設興行というものがあります。つまり全国を移動しながら、移動先でテントや小屋を建てて興行をはるわけですが、サーカスが代表格で、お化け屋敷(やぶ)と見世物小屋(こもの)もそれにあたります。
現在、見世物小屋を興行しているのは、大寅興行、多田興行、団子屋(さとう)興行の3軒です。安田興行は、里美さんが無くなり見世物小屋は興行できなくなり、お化け屋敷一本だそうです。ちなみにお化け屋敷を興行しているのは10軒程あるとのこと。
最盛期には一つの祭りに7、8軒くらいの小屋が一緒に並び、し烈なまでに客寄せ競争をしていたと、懐かしそうに話されていました。
見世物小屋は、宣伝がないのでそこにたまたま居た客をいかに引き込むかという呼び込み(たんか)の技量が大事とのこと。

これからのことになると、話は少し沈みがちです。
後継者が居ないので、見世物小屋は自然消滅してしまうだろう・・・。
でも見世物小屋の灯は絶やしたくなので、演者(大夫)を募集中と、冗談混じり、それとも本気(?)で話されていました。
戦後は身体障害者が小屋には多くいたそうですが、特に昭和50年以降身体障害者を使うことに対する取り締まりがきつくなっていったそうです。
そういった意味でも見世物小屋を続けていくことは、今の世の中、現実的には無理なのでしょう。
そのあたりを児童福祉法で子供たちを使えなくなったサーカスと対比しながらお話しされていました。

大寅興行がフランスに行った時の感想を大野さんいわく。
お化け屋敷は日本の3倍くらい大きいけれど、見世物小屋は日本の方がはるかに良い。向こうのは剥製(はくせい)が飾ってあるだけ・・・

大野さんは綱渡りからはじめてオートバイのサーカスの呼び込み、火吹き、ヘビ喰い等々を演じ、安田さんも大夫として同じように何から何までこなし、ヘビ喰い(鼻からヘビを入れて口から出す)は亡夫から厳しく習い多いときは一日に60回ほども演じたことがあるそうです。
その頃の修行の辛さは、語りようにも語ることが出来ないと察しました。
そんなエピソードを交えながら、お二人とも姉御肌を感じさせる気っぷの良さと、どんな逆境をも乗り越えてしまう明るさを持ち合わせ、特に安田さんはよくしゃべり楽しいひとときを過ごすことが出来ました。

さて、ご両人共にお化け屋敷よりも見世物小屋の方に思い入れがあるようで、安田さんは、ライバル同士ではあるけれど他の興行とは親や兄弟よりも深い情愛で結ばれているので、移動先で会えるのが本当に楽しみだと語っていました。大野さんは、それに加えて、呼び込みでお客さんが入る時の快感、そしてお客さんからの反応などがあるから、やめられないと仰っていました。
ちなみに大きな板に血をつけた「大イタチ」という見世物は、この世界で半世紀以上過ごしたご両人でも未だ見たことがないと仰っていました。

出席者のブロフィール:
○安田春子
安田里美興行。人間ポンプ(故・安田里美氏)未亡人。1933年、長崎県生まれ.長崎で原爆を被爆し、終戦をきっかけに黒川興行に入ったのが、この世界へ本格的に入った第一歩。サーカスに出演中、指導係としてやってきた安田里美(本名・山本丑松)さんと知り合い、1948年結婚,以後、里美さんの片碗として、自ら舞台出演、呼び込み、興行の手配などすべてをこなす。1995年、安田里美さんが没した後は、同社の三代目となる実弟の梅田陸男さんを助け、全国を飛び回っている。
○大野裕子
大寅興行。1944年、北海道生まれ。父、大野寅次郎は早稲田中退後、この世界へ入った変わり種。アイデア豊富な興行師だったが、1968年に倒れ、裕子さんが社主代行に.小沢昭一さんがレコード『日本の放浪芸』で、妙令の美人姉妹ばかりのこの小屋を「大寅美人館」と紹介した。寅次郎は79年没。現在は二代社主で弟の初太郎氏ら、兄弟姉妹て社を運営。遊戯施設を持ってパリで興行したこともある。1997年、早稲田大学祭に出演予定だったが、大学祭が中止となり、実現しなかった。
○西村太吉
日本仮設興行協同組合理事‘松坂屋興行部,11933年生まれ。父は興行師↓西村宗吉。宗吉は造り酒屋の家に生まれたが、家業を継ぐのを嫌って家を飛び出し、興行の世界に入って、大立者となった人。その父のもとて、子どもの頃からこの世界に親しみ、若いころは呼び込みのうまさでは、関東屈指との定評があった。現在は興行界の重鎮として、組合の仕事にもカを入れている。
○坂田春夫
東京街商協同組合理事長・会津家興行部。1930年生まれ。早稲田中学卒業後、専修大学に進み、ラグピ一部で活躍。卒業後、厚生省に奉職,その後、父親の仕事を継いで、この世界に。この春より、東京街商協同組合の理事長に就任。斯界の発展のために尽カしている。
○鵜飼正樹
京都文教大学講師。社会学。1958年、滋賀県生まれ。京都大学大学院在学中に大衆演劇の劇団に入って、ほぽ一年のあいだ巡業に参加。その体験をまとめた『大衆演劇への旅 南条まさきの一年二カ月』(未来社)がある。安田里美さんの独演会「安田里美ひとり舞台」を企画、京都無門館で公演、大評判となる。共著に『大道芸と見世物』(大系「日本歴史と芸能」第13巻)がある。安田さんの聞き書きを中心にした著書を近日、平凡社より刊行予定。
○上島敏昭
編集者。大衆芸能研究。1955年、長野県生まれ。『大衆芸能資料集成』(全10巻)、『近代庶民生活誌』〈全20巻)、『小寺玉晃 見世物雑誌』(いずれも三一書房)などの編集に携わる。仲間と大道芸て遊ぶ会「坂野比呂志大道芸塾」を作り、浅草で活動。安田里美さんの独演会「安田里美ひとり舞台」(企画・鵜飼正樹、浅草木馬亭、平成3年)、「最後の見世物・人間ボンプ」(浅草ロックンロール、平成7年)の公演を同塾で制作。どちらも文化庁芸術祭参加。
○橋本裕之
千葉大学助教授。演劇学・民俗学。文学博士。1961年、大阪生まれ。国立歴史民俗博物館助手を経て、現職。著書に『春日若宮おん祭と奈良のコスモロジ一』(東京外国語大学アジア・アフリカ議語文化研究所)、『王の舞の民俗学的研究』(ひつじ書房)などがある。
○和田修
本学助教授。近世芸能史。1963年、東京生まれ。

◎見世物関係資料展示会:

○絵看板(所蔵 安田里美興行社):
人間ポンプ 志村静峯画/謎の人魚 志村静峯画/気合術 志村静峯画/たこ娘・かに男 志村静峯画/手術室 志村静峯画/電気人間/大魔術 志村静峯画/犬と猿の曲芸 志村静峯画/新生児の取り上げ 志村静峯画/へびつかい 志村静峯画/驚異の人問ポンプショー/入口幕
○書籍、模型:
『見世物雑志』全5巻・所蔵早稲田大学図書館/有田洋行サーカス小屋模型・所蔵早稲田大学演劇博物館
○錦絵(原所蔵 早稲田大学演劇博物館):
「一流曲独楽 竹沢藤次」錦絵(複製)一勇斎国芳画/「石橋 早竹虎吉」錦絵(複製)一勇斎国芳画/「手長足長等見世物」錦絵(複製)一勇斎国芳画/「新板いたりやチヤりネ座曲馬」錦絵(複製)国利画 「見世物風俗図屏風」(複製)伊藤晴雨画 二曲一隻/「世界無比不可思議奇術」錦絵(複製)国利画
○番付(所蔵 早稲田大学演劇博物館):
「竹田大からくり高野山景色絵図」番付/「東京の花力曲持」番付/「生大象」番付/「西洋首斬手品」番付/「猿の糸渡り 十二月影」

★ひとこと:
最近の世の中、何の分野においても多様化・個性化してきていると言われますが、本当でしょうか。私には疑問です。
例えばどのようなジャンルのアートをも「面白い・面白くない」と評して、世の中の全てのオブジェに対して「かわいい・かわいくない」とランクづける。
全てを2極に分断し、単純化した評価を下して、否定的なものは排除するような傾向がないでしょうか。
見世物小屋は、そのような基準から言えば、確実にこの世の中から消えて亡くなるようなものでしょう。
しかし、見世物小屋から発せられる、その怪しげな誘惑は確実に、人間の心底にある琴線に触れてきます。
遊び心溢れる芸能が、また一つ姿を消します。せめて何らかの形で記録を残していく必要があるのではないでしょうか。

★最後に:
当日配布された資料から「出演者プロフィール」や「見世物関係資料展示会」などの記述内容を引用させていただきました。このような素敵な企画を立案され実行された、早稲田大学文学部演劇専修の方々や関係者の方々に御礼申し上げます。
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【チルコファンタジア】

★公演名:イタリアンサーカス「チルコファンタジア」
★公演場所:野外民族博物館リトルワールド内 屋外ステージ(愛知県)
★公演日:3月21日〜6月7日
★公演時間:40分
★内容:
チルコファンタジアはフェリーニの世界を彷彿させるようなサーカスを実現しようと企画されたものです。
オープニングでクラウンがトランペットで「ジェルソミーナ」を演奏しながら客席から登場すると、「道」を繰り返し何度も観ている私はそれだけで何だか胸がジンと・・・
★余談
5月9日(土)に片道4時間半かけて一人で行きました。
公演終了後、図々しくもフランソワーズ(仏)さんを呼び出してもらい少しお話をしました。もともとろくに英語をしゃべれない上に、彼女の美しさにウットリ・・・胸はドキドキして頭の中は真っ白。色白で顔は小さくお目々はぱっちりで、本当に綺麗!(*^_^*)
彼女の演技は観る度に受ける印象が違うのですが、今回のはやはり新しいプログラムだということでした。ちなみに5才から10才までバトントワリングを習っていたそうです。
その後ブレックさん(独)とアレッサンドロ(伊)が談話しているところに割り込んで挨拶をしていたら、そこへ又フランソワーズさんが来てドキドキ・・・・(*^_^*)(*^_^*)
で、持っていた「ポケットピカチュウ」を説明して実演したらこれが大受け!
ブレックさんは初来日、アレッサンドロさんは5年前に宝塚でパフォーマンスをしたことがあるようです。
ブレックさんのE-MailとWeb-Siteは以下の通り。
E-Mail:Tom Breck
Web-Site:Tom Breck
ホームページの写真は少し前の頃のもので、今はスキンヘッドで、怪しげさ充分。
帰りのバスではレイノルズさん(米)と一緒になり、駅前の喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、そこへ又又フランソワーズさん登場でドキドキ・・・・・(*^_^*)(*^_^*)(*^_^*)
ちなみにレイノルズさんは来日11回目だそうです。
アメリーコさん(伊)もいらしたのでお話をしたら、彼は初来日だそうで、なんとフェリーニの映画にチョイ役ですが18才の時に(今は32才)出たことがあるそうです。しかもジュリエッタ・マシーナさん(女優で奥さん)も知っているということで、それを聞いただけで感激!
てっきり「フェリーニの道化師」だと思ったのですが、よく考えたらあれは1970年の作品だから計算は合わない。いったい何の映画に出たのだろう。
一日に3回の公演はキツイともらしつつ、これからフィットネスに行くと言っていました。タフですねぇ!
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【Dreams & Nightmlares】

★公演名:Dreams & Nightmlares by DAVID COPPERFIELD
★公演場所:東京国際フォーラム・ホールA
★公演日:5月5日(火)12時40分〜14時10分
★内容:
★ひとこと:
今度は家族4人で行きました。ん〜、何度観ても実に素晴らしい!
特にフライングはビデオでも、生ステージでも何度も観ていますが、何回観ても目頭が熱くなり涙が出てきます。
今回の来日での我が家の出費にも涙が出ますが・・・・
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【Dreams & Nightmlares】

★公演名:Dreams & Nightmlares by DAVID COPPERFIELD
★公演場所:東京国際フォーラム・ホールA
★公演日:4月28日(木)19時20分〜21時5分
★入場料:S\12,000/A\10,000/B\8,000/C\5,000
★主催:日本テレビ/特別協賛:マツモトキヨシ
★内容:
★ひとこと:
1978年から始まったCBS放送の「The Magic of David Copperfield」シリーズも全て観ているし、公演鑑賞も今回で4回目というデビ様のファンの一人ですが、彼を生で観ることができる「今」に生きていることが本当に嬉しい!
今回の公演は4月28日から5月5日までです。
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【大道芸的ライブ】

★公演名:大道芸的ライブ
★公演場所:横浜市吉野町市民プラザ
★公演日:4月23日(木)13時30分〜17時30分
★内容:
★ひとこと:
どうです、凄い演者が勢揃いしているでしょう!会社を休んで行った甲斐があったというものです。
この大道芸的ライブはとても画期的な試みです。21日と23日のあえて平日の昼間に公演をぶつけるというのは、とても冒険的といえます。
入場料もあえて取らずに、参加費として500円をいったん納めますが、つまらなければ、その旨を帰りに申告すれば返してくれます。また面白いと思えば、演者毎に箱が用意してあるので帰りに投げ銭をすることも可能です。
また市民プラザの借用料も、面白い試みだと共感していただきタダにしてもらったそうです。
本当に個性的な演者が勢揃いして、4時間も楽しむことができ、こんな贅沢が許されるのでしょうか。来年も開催されることを期待しています。
ちなみに21日は岩間市民プラザで、以下の方々が出演されたようです。
マサヒロ水野、ドリームかずよし、ましゅ&Kei、はまむら翔、カズ&まや、かぼちゃ商会、京本千恵美、大谷ひとみ、カム&たび、藤原秀敏、トウシ&ヒロシ、笑太夢マジック。
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【第22回野毛大道芸】

★公演名:第22回野毛大道芸
★公演場所:野毛商店街〜吉田町商店街
★公演日:4月18日〜19日
★内容:
★ひとこと:
天気にも恵まれたせいか、とにかく人手は凄まじく、そしてタイムスケジュールも定かでないため、待ち時間が多かったのですが、正午から4時30分まで息子とたっぷりと楽しむことが出来ました。
投げ銭に関しても完全に定着したようですし、TV番組「幸せ家族計画」のおかげでジャグリング自体もかなり知名度が上がっているようで、どこのスポットでも盛り上がっていました。
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【ヨコハマボードビルシアター】

★公演名:ヨコハマボードビルシアター・イン・ランドマークホール
★公演場所:ランドマークホール(600名収容)
★公演日:4月16日〜19日
★入場料金:2,100円(全席自由)
★内容:
★ひとこと:
16日の19時〜20時40分の公演に行きました。観客数は例年通り60〜70人と寂しい限りで、いまひとつ盛り上がりに欠けますが、その分じっくりと落ち着いて観ることができました。
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【Mr.マリック超魔術ライブ】

★公演名:Mr.マリック超魔術ライブ
★公演場所:松戸市民会館(1,212名収容)
★公演日:3月15日
★入場料金:4,700円(全席指定)、7,000円(親子券)
★主催:東京音協/企画制作:マリックプロモーション/協賛:オムロン
★内容:
★ひとこと:
15時35分〜17時25分まで休憩なしに、息子とマリックの世界に浸ってきました。
会場は満員で、クロースアップ的な演目の場合には演技が分かるように、舞台中央の天井寄りに吊された大きなスクリーンに移動カメラの捕らえとらえたマリックさんやボランティアの手元の映像が映し出されていました。
マリックさんの「話術」には本当に感心してしまいます。
アナウンサーのように明瞭でもないし、俳優のように流暢ではないのですが、ユーモアを交えてボランティアが戸惑うことなく的確に指示をして、なおかつ最も重要であるその場その場を判断して臨機応変に(トリックの)流れを不自然なく変えていく、まさしく「話術」と呼ぶにふさわしい技量には脱帽です。
我々1,200人もの観客はマリックさんの「術」に2時間もの間、はまっていたのです。
マリックさんにしか創り得ない独自の世界を堪能できました。間違いなく超一級のエンターテイメントです。
★余談:
もう二十数年位前でしょうか、結構伝統のあるマジックフェスティバルに私がアマチュアの部で学生マジシャンとして出場した時に、プロの部では現在のマリックさんやトランプマンさんが出場されていました。その時に初めてご両人の演技を観たものの、失礼ながらあまり印象的ではありませんでした。
が、その後に特にマリックさんがあのような形で登場した時にはブッ飛びました。
当時マジック界では賛否両論あったようですが、マリックさんの演出をまねたマジシャンが今では誰も残っていないことから分かるように、マリックさんの世界は彼だけのものです。
マジックとは少々趣きの違う独自の世界を確立された唯一のアーティストとして心底尊敬しています。
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【クラウンのいる風景−RONE&GiGi−】

★公演名:クラウンのいる風景−RONE&GiGi−
★公演場所:横浜相鉄本多劇場(tel:045-319-2150)
★公演日:2月13日〜15日
★入場料金:2,500円(前売)、2,800円(当日)/全席自由
★主催:OPEN SESAME(tel&fax:03-3765-1006)
★内容:
★ひとこと:
15日に行きました。観客席は満席状態で、子連れの家族・年輩の夫婦・若い人達等、構成は様々で、14時から15時20分までリラックスして楽しめました。
「笑い」について最近考えるのですが、こういった公演での洗練された質の高い笑いは大好きです。意外性はもちろんですが、きっと何かしでかして笑わせてくれるだろう、という期待に見事答えてくれた時は何とも愉快です。
もちろんまだまだ高いところを目指して、RONEさんとGiGiさんには頑張ってもらいたいものです。
そうそうBGMの選曲は気に入ったし、照明・音響とのタイミングも良かったです。

話は変わりますが、
相手を表面的な言葉面で徹底的に攻めてツッコミ倒す演出。素人とプロとの境は無いのだという錯覚を押しつけるような演出。立場の弱い者や貧しい人を標的にした笑い。集団で体を張った文字通り命がけの苦痛でゆがんだ様を見て笑えと強要する理解しがたい番組。前後の脈絡のない一発芸的な身体表現をギャグと称するセンスの無さ。落語界に入門して口の滑りをなめらかにして、笑い屋に囲まれたバラエティ番組で運び屋として時流にのる芸人もどき。・・・・・私自身テレビにはこれっぽっちも期待はしていませんが、我々自身がもっともっとホッとするような心温まる「笑い」を求めましょう!

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【説経節】

★公演名:説経節
★公演場所:横浜相鉄本多劇場(tel:045-319-2150)
★公演日:平成10年2月4日(水)
★公演時間:19時〜21時(休憩10分間)
★入場料金:2,000円
★主催:説経楽舎(〒184東京都小金井市東町4-40-16/tel:080-316-1606/fax:0423-84-4991)
★内容:
  1. 若松派説経節「くずの葉〜二度の子別れの段〜」(若松政太夫)
  2. トーク「説経節ってなに〜SPレコードで聴く説経節中興の祖・初代若松若太夫〜」(若松政太夫+桂小文)
  3. 若松派説経節「小栗判官〜矢取りの段〜」(若松政太夫)
★ひとこと:
2月3日と4日の2夜連続で、若松政太夫さんによる説経節の公演が開催されました。本多劇場は、184席収容とこじんまりとした劇場で、私の行った4日は40人程入っていました。
説経は本来仏教の経典や教義を分かり易くかみ砕いて説いたもので、説経節とはその経典の解説をさらにくずして神仏の縁起とその功徳・霊験の話を、人間愛憎の物語に絡めて節(ふし)面白く語った、いわゆる「語り物」芸能のひとつです。
室町時代では、ムシロの上で「ささら」という竹の楽器を使って大道芸・門付芸としての「門説経」が盛んでしたが、江戸時代に入ると芝居小屋での上演、そして三味線を取り入れるようになりました。
十代目薩摩若太夫が人気を博していた明治・大正時代に、初代若松若太夫が様々な試みをしてラジオやレコードにと活躍したようです。初代の息子である二代目若松若太夫に入門したのが、今回の若松政太夫さんです。薩摩派は”節”で聴かせて、若松派は”言葉”で聴かせる、と言われているようです。
説経節は、もう既に過去の芸能かと思っていましたが、どっこい生きていました!
説経節を聴けるとは本当に驚きでした。ラッキーでした。
演目は有名なものばかりですが・・・何と言うことでしょう、ほとんど聴き取れませんでした・・・。でも聴いていると何故か心地良くなってくるのは、日本人だから?それとも眠気?
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【江戸太神楽・お江戸のお正月】

★公演名:江戸太神楽・お江戸のお正月
★公演場所:STスポット・八七四(はなし)亭
★公演日:平成10年1月14日(水)
★公演時間:18時40分〜20時5分(仲入り15分間)
★入場料金:874円
★主催:STスポット(電話045-325-0411)
★内容:
  1. 獅子舞(仙三郎、仙次)
  2. 曲撥(小仙、仙吉)
    太鼓撥の曲取りで3本・4本の撥を取り分ける。
  3. 曲太鼓(小仙、仙吉)
    後見との愉快な掛け合いをベースに、2本の太鼓撥の曲取りをしながら太鼓をたたく。
  4. 茶番・滑稽掛合(小仙、健三郎)
  5. 曲毬(小仙、仙次)
    一つ毬、そして一つの毬と二つの撥との曲取り。
  6. 太神楽曲芸の練習方法紹介(小仙、仙太、仙吉、仙次)
    曲撥の練習方法、輪の組取り、など。

    (仲入り)

  7. 傘の曲(仙太、仙次)
    立て分け、傘回し(毬、金輪、茶碗、五合枡)。
  8. 花籠鞠の曲・どんつく(小仙、仙吉)
    籠と鞠との使い分け。
  9. 曲独楽(仙太郎)
    刃渡りの曲、綱渡り、投げ独楽・末広の曲、風車の曲。
  10. 水雲井の曲(健三郎、仙吉)
    長竿の先へ茶碗を乗せ、回転させることにより、その中から水を八方に散らし、終わりに紙吹雪を出す。
  11. 祝寿獅子舞(小仙、仙次)
★ひとこと:
STスポット・八七四亭はキャパが60人ほどで、普段は寄席を開催していますが、今回は「お江戸のお正月(江戸太神楽)」という特別企画。
昔は元旦から数週間かけて日本橋や向島などで、家々を一軒一軒廻って太神楽(獅子舞、放下など)を披露していたようですが、最近は都市化のせいでしょうか一日程度で廻りきってしまうとのことでした。
そういった門付け芸の再現を「鏡味小仙社中(小仙、仙太郎、健三郎、仙太、仙吉、仙次)」によって見せていただきました。
舞台と客席を分けるしきりのない、広いとは言えない劇場の中(縦9m、横6m、高さ3m)で、文字通り目の前でこれほど多くの太神楽を観られたことは年明け早々ラッキーでした。
鏡味小仙社中は、ジャグラーのマサヒロ水野さん(仙太郎)・石川健三郎さん(健三郎)らがいてメンバーも多彩で、野毛大道芸などへの出演、あるいは江戸太神楽教室や江戸祭り囃子サークルなど、多方面での活躍をされています。
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